COLUMN

雨漏りは塗装やコーキングで止まる?症状別の見分け方と、業者に聞く4つのこと

外壁と窓まわりの傷んだコーキングを点検する住人と専門家のイラスト

「塗装すれば雨漏りが止まる」「コーキングで直る」と言われて、迷っている方へ。

SUMMARY

結論:瓦やスレートの屋根の雨漏りは、塗装では止まりません。コーキングで止まるのは、入口がはっきりした外壁や窓まわりのすき間くらいです

屋根の雨を最後に止めているのは、瓦やスレートの下に敷いてある防水シートです。 塗装は屋根材の表面を守り、見た目を整えるもので、防水シートの代わりにはなりません。

コーキングが効くのは、水の入口がはっきりしていて、そこがもともとコーキングで雨を防いでいる場所のときです。 入口が分からないままふさぐと止まらず、水の出口までふさいで悪くすることもあります。

※この記事は、瓦とスレートの屋根の話です。金属の屋根は、さびで空いた小さな穴から漏ることもあり、事情が違います。 金属の屋根の場合も、まず水の入口を調べてから直し方を決めてください。

HOW ROOFS WORK

屋根は「2段がまえ」で雨を止めています

屋根は、表に見えている屋根材(瓦・スレートなど)だけで雨を防いでいるわけではありません。 屋根材の下には防水シート(ルーフィング)が敷いてあり、 屋根材のすき間から入った水は、このシートの上を伝って軒先から外へ流れていきます。 瓦屋根の施工の手引きにそう書かれていて、スレートの屋根も同じ考え方で作られています。

屋根の断面の模式図 上から、屋根材、防水シート、野地板の3層。屋根材のすき間から入った雨水が、防水シートの上を伝って軒先から外へ流れる様子。 1 2 3 4 5
屋根の断面(模式図)
  1. 屋根材(瓦・スレートなど)雨の大部分をはじいて流します。強い雨や風のときには、すき間から下に水が入ることがあります。
  2. 防水シート屋根材の下に入った水を止めて、シートの上を伝わせて軒先へ流します。
  3. 野地板(のじいた)防水シートと屋根材を支える板です。
  4. すき間から入った水の通り道防水シートの上を流れ、軒先から外へ出ます。
  5. 塗装塗るのは屋根材の表面だけです。防水シートには届きません。

瓦屋根の業界団体がまとめた設計・施工の指針でも、瓦の下に敷く防水シートは 「二次防水」のためのもので、瓦から水が入った場合は シートの上の水を早く軒先まで流すように、と書かれています。

つまり、室内にしみが出ているときは、屋根材の下の防水シートのところまで水が回っているおそれがあります。 表面を塗ったり、見えるすき間をふさいだりしても、そこには手が届きません。

PAINTING

塗装は、何のためのものか

スレート屋根のメーカーのケイミューは、自社の屋根材について、 表面の色が薄くなっても、屋根材そのものに傷みが無ければ防水の性能に問題は無いと案内しています。 塗り直し用の塗料についても、「見た目を取り戻し、よくするための塗料」という書き方です。

「色あせているから雨漏りする」「塗れば雨漏りが止まる」という説明は、屋根材を作っている側の説明と合いません。 塗装は屋根材の表面を守り見た目を整えるもので、雨漏りを止める工事とは別のものと考えてください。

塗ったことで雨漏りすることもあります(スレートの「縁切り」)

スレートは、少しずつ重ねて並べてあります。この重なり目のすき間は、下に入った水の出口にもなっています。 塗装で重なり目が塗料でふさがると、水の出口がなくなり、雨漏りにつながることがあります。 これを防ぐために、重なり目を切り離しておく作業を「縁切り(えんぎり)」といいます。

ケイミューは、自社の屋根材を塗り直すときは必ず縁切りをするようにと案内しています。 一方で、すき間に差し込んで縁切りをする部材については、自社の屋根材では割れの原因になるので使わないようにとも書いています。 縁切りのやり方は屋根材によって違うので、塗装の見積りを受け取ったら、どの方法で縁切りをするのかを聞いてください。

SEALANT

コーキングで止まる雨漏り・止まらない雨漏り

コーキングは、すき間を埋めてふさぐ材料です。 効くかどうかは、ふさぐ場所が「もともとコーキングで雨を防いでいる場所」かどうかで決まります。

左は外壁のひび割れたコーキング、右は屋根材の重なり目から雨水が流れる様子を比べたイラスト
外壁のつなぎ目は、入口が確かならコーキングの打ち直しで止まる見込みがあります。屋根材の重なり目は、水の出口をふさがずに流す場所です。

止まる見込みがあるのは、外壁のつなぎ目や窓まわり

外壁の板と板のつなぎ目は、コーキング(シーリング材)で雨を防いでいます。 外壁材の業界団体も、このコーキングと表面の塗装は永久に持つものではない、としています。 ここが切れていて、そこが入口だと確かめられたなら、打ち直すことで止まる見込みがあります。 窓サッシと外壁のすき間も同じです。

止まらない・かえって悪くなるのは、水の出口をふさぐとき

屋根は、入った水を外へ流す作りになっています。スレートの重なり目や、瓦の下から軒先へ水が抜ける所は、 ふさいではいけない場所です。ここをまとめてふさぐと、行き場をなくした水が別の場所へ回ることがあります。

屋根材の割れをふさぐのも、その場しのぎです。しみが出ているなら、下の防水シートまで傷んでいるおそれがあり、 表からふさいでもそこは直りません。

BY SYMPTOM

症状別:塗装・コーキングで止まる見込み

ご自宅の症状に近いものを探してください。どれも目安で、はっきりさせるには現地で見てもらう必要があります。

症状から見た、塗装・コーキングの見込み
  • 止まる見込みあり
  • 止まらない
  • かえって悪くなるおそれ
  • 要らない
  1. 外壁の板のつなぎ目や、窓まわりのコーキングが切れている。そのすぐ内側の壁や窓枠にしみが出る

    塗装
    止まらない
    コーキング
    止まる見込みあり(条件つき)

    外壁のつなぎ目は、もともとコーキングで雨を防いでいる場所です。そこが入口だと確かめられれば、切れたコーキングを打ち直して止まることがあります。上から塗るだけでは、切れたすき間は残ります。

  2. 屋根が色あせている・コケや汚れが目立つ。でも室内にしみは無い

    塗装
    要らない
    コーキング
    要らない

    いま雨漏りはしていません。屋根材メーカーのケイミューは、色が薄くなっても屋根材そのものに傷みが無ければ防水の性能に問題は無く、塗り直しは見た目を取り戻すため、と案内しています。

  3. 2階の天井にしみ。屋根の瓦やスレートに割れ・ずれがある

    塗装
    止まらない
    コーキング
    止まらない

    雨を最後に止めているのは、屋根材の下の防水シートです。しみが出ているなら、その防水シートまで水が回っているおそれがあります。割れた所をふさいでも、その場しのぎにしかなりません。

  4. スレート屋根を塗り替えてから、雨漏りが始まった

    塗装
    かえって悪くなるおそれ
    コーキング
    かえって悪くなるおそれ

    スレートの重なり目が塗料でふさがると、入った水の出口がなくなり、雨漏りにつながることがあります(上の「縁切り」)。重なり目をコーキングでふさぐのも同じです。塗った業者に、縁切りをどうしたかを確かめてください。

  5. 瓦と瓦のすき間をコーキングで埋めれば止まる、と言われた

    塗装
    要らない
    コーキング
    かえって悪くなるおそれ

    瓦の下に入った水は、防水シートの上を伝って軒先から外へ出ていく仕組みです。すき間をまとめてふさぐと、この出口までふさいでしまうことがあります。

  6. どこから水が入っているのか、まだ分からない

    塗装
    止まらない
    コーキング
    止まらない

    入口が分からないまま塗ったりふさいだりしても、止まらないことがほとんどです。先に原因を調べてもらってください。

どこから入っているか分からないときの調べ方は、 雨漏りの原因の調べ方|屋根以外?結露?見分け方と6つの調査方法にまとめています。

4 QUESTIONS

「塗装すれば止まる」と言われたら、聞き返す4つのこと

塗装やコーキングを勧められたときは、その場で決めずに、次の4つを聞いてください。 はっきり答えられない場合は、まだ原因が分かっていない状態です。

  1. 水はどこから入っていますか?

    「屋根全体が傷んでいるから」ではなく、入口の場所を聞いてください。答えが具体的でなければ、まだ原因が分かっていない状態です。

  2. どうやって確かめましたか?

    写真や、水をかけて雨漏りを再現した結果など、見せてもらえるものを聞いてください。見せられた写真がご自宅のものか分からないときは、撮った場所を地上から指してもらってください。

  3. 屋根材の下の防水シートは、どうなっていますか?

    雨を最後に止めているのは防水シートです。雨漏りしているのに、防水シートについて何も説明が無い塗装の見積りは、雨漏りの修理になっていないことがあります。

  4. (スレート屋根なら)縁切りは、どうしますか?

    塗装で重なり目がふさがらないようにする作業です。やり方は屋根材によって違うので、「する・しない」だけでなく、どのやり方でするかを聞いてください。

突然訪ねてきた業者に勧められている場合は、その場で契約しないでください。 雨漏りが本当にあるかどうかは、あとから確かめられます。訪問を受けたときにすることは、 「屋根が浮いてますよ」と訪問を受けたら|その場でする5つのことにまとめています。

塗装やコーキングで止まるのか分からないときは、京都やねリフォームにご相談ください。お住まいのエリアを担当する施工店が現地調査を行い、水の入口を確かめます。

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FAQ

よくいただくご質問

塗装の見積りに「防水」と書いてあります。雨漏りも止まりますか?

塗料の「防水」は、屋根材の表面で水をはじく働きのことで、屋根材の下の防水シートの代わりにはなりません。雨漏りしているなら、先に水の入口を調べて直すのが順番です。見積りを受け取ったら、雨漏りの原因とその直し方が書かれているかを確かめてください。

屋根の塗装は、しないほうがいいのですか?

そうではありません。屋根材によっては、メーカーが専用の塗料での塗り直しを案内しています。ただ、その目的は見た目を取り戻すことと表面を守ることで、雨漏りを止める工事とは別のものと考えてください。

コーキングで止まったのに、また漏れてきました。

水の入口が別の場所にあった、入口が1か所ではなかった、打ち直したコーキングがまた傷んだ、などが考えられます。同じ場所を何度もふさぐより、いちど原因を調べてもらうほうが近道です。調べ方は「雨漏りの原因の調べ方」にまとめています。

自分でコーキングをしてもいいですか?

おすすめしません。入口が分からないまま塗ると止まらないうえに、水の逃げ道をふさいだり、あとの原因調査の邪魔になったりすることがあります。屋根の上の作業は転落の危険もあります。ご自身でできることは「雨漏り修理は自分でできる?」にまとめています。

訪問してきた業者に、その場で塗装を勧められています。

その場で契約しないでください。雨漏りが本当にあるのか、どこから入っているのかは、あとから別の業者に見てもらって確かめられます。訪問を受けたときの対処は「「屋根が浮いてますよ」と訪問を受けたら」にまとめています。

SOURCES

この記事の出典

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