COLUMN
外壁のひび割れ|様子を見てよいひびと、早めに見てもらうひびの見分け方
外壁や基礎にひびを見つけた。まだ雨漏りはしていないけれど、このままでいいのか知りたい方へ。
SUMMARY
結論:幅で見るのはコンクリート。木造の外壁は「どこまで届いているか」で見ます
国の基準で、ひびの幅(0.3mm・0.5mm)が目安になっているのは、基礎などのコンクリートと、鉄筋コンクリートの壁です。 基礎なら、幅0.5mm以上のひびや、さび色の汁がにじむひびは、早めに見てもらってください。
木造の家のモルタルやサイディングの外壁は、幅ではなく、 仕上げの下の板(下地)まで届いているか・何枚もの板にまたがっているか・浮きやはがれがあるかで見ます。
表面だけの細いひびで、何か月か比べても変わらないなら、様子を見てかまいません。 そのかわり、幅を測り、写真と日付を残して、変わっていないかを確かめ続けてください。
TYPES
外壁のひびは2種類。表面だけのひびと、家を支える部分にかかわるひび
- 左:塗装や仕上げの表面だけのひび
- 右:奥の家を支える部分まで届くひび
コンクリートの壁を例に、仕組みを示した図です。実際の深さは、外からの見た目だけでは判断できません。
外壁のひびは、大きく分けると次の2つです。見た目が似ていても、心配の度合いが違います。
- 表面だけのひび(ヘアクラック)
- 塗装や仕上げの表面にだけ出ている、髪の毛のように細いひびです。 業者の説明では「ヘアクラック」と呼ばれることがよくあります。 ただ、「何mm未満ならヘアクラック」という決まりは、今回確かめた国の基準には見当たりませんでした。 業者によって言い方が違うので、名前よりも、次の章の見分け方で確かめてください。
- 家を支える部分にかかわるひび(構造クラック)
- 基礎・柱・壁など、家の重さや揺れを受け止める部分(法律では「構造耐力上主要な部分」と呼びます)にまで届いているひびです。 国の基準では、こうしたひびがあると、家を支える部分に欠陥がある「可能性」が高くなる、という見方をします。
STANDARDS
国の基準では、どんなひびを「要注意」としているか
ひびの見方を決めている国の基準は2つあります。
- 住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準(国土交通省の告示): 新築の家でもめごとになったときに、ひびや傾きから、家を支える部分に欠陥がある可能性を 「低い」「一定程度ある」「高い」の3段階で見るための目安です。
- 既存住宅状況調査方法基準(同じく国土交通省の告示): 中古の家の売り買いのときなどに、専門の調査員が家の傷み具合を調べる(インスペクション)ときの、調べる項目です。
2つを、外壁と基礎の種類ごとに並べると次のとおりです(木造の家を中心に、言葉はかみくだいています)。
表は横にスクロールできます。
| 場所・外壁の種類 | 欠陥の可能性の目安(紛争処理の基準) | 調査で「傷みあり」とする項目(状況調査の基準) |
|---|---|---|
| 基礎(コンクリート) | 幅0.3mm以上0.5mm未満のひびは「一定程度」、幅0.5mm以上のひびや、さび色の汁がにじむひびは「高い」 | 幅0.5mm以上のひび、深さ20mm以上の欠け、さび色の汁がにじむひび、鉄筋が見えている所 |
| 塗って仕上げた外壁(モルタルなど) | 幅の数字は無い。仕上げの下の板(下地)や柱などの表面まで届くひびは「一定程度」、仕上げと下地にまたがって割れているひびは「高い」 | 下地まで届くひび・欠け・浮き・ふくらみ・はがれ。仕上げの目立つ浮き |
| 板を張って仕上げた外壁(サイディングなど) | 幅の数字は無い。何枚もの板(仕上げ)にまたがって続くひびは「一定程度」以上 | 下地まで届くひび・欠け・浮き・ふくらみ・はがれ。何枚もの板にまたがるひび・欠け |
| 鉄筋コンクリートの壁 | 幅0.3mm以上0.5mm未満のひびは「一定程度」、幅0.5mm以上や、さび色の汁がにじむひびは「高い」 | —(この表には木造の家の調査項目だけを載せています) |
0.3mm・0.5mmは、木造の外壁の基準ではありません
「0.3mm以上のひびは要注意」という説明をよく見かけますが、国の基準で幅の数字が出てくるのは、 基礎などのコンクリートと、鉄筋コンクリートの壁です。 木造の家のモルタルやサイディングの外壁の欄には、幅の数字はありません。 かわりに、ひびが仕上げの下の板や網・防水の紙・柱などの「下地」まで届いているか、 何枚もの仕上げにまたがっているか、浮き・ふくらみ・はがれがあるかで見ます。
基準は「目安」で、ひびだけで欠陥と決まるわけではない
紛争処理の基準は、性能評価を受けた新築の家で、工事が終わってから10年以内に出た不具合のもめごとに使うものです。 基準そのものにも、「可能性が低い」ひびでも欠陥がある場合があり、「可能性が高い」ひびでも欠陥がない場合がある、と書かれています。 ご自身の家のひびを見分ける目安として使い、最後は現地で見てもらってください。
HOW TO CHECK
ご自身で確かめる方法:測る・撮る・印を付けて比べる
- 左:ひびの幅を測る
- 中央:定規を添えて写真を撮る
- 右:両端の外側に印を付け、写真と日付を残して比べる
手の届く高さで記録してください。ひびの中に物を差し込んだり、テープでふさいだりはしません。
ひびは、今の幅よりも変わっていくかどうかが大事です。 地上から、次の順で確かめてください。
- 地上から、家のまわりを1周する
外壁だけでなく、地面の近くの基礎(コンクリートの部分)も見ます。窓の角や、板のつなぎ目のまわりは、ひびが出やすい所です。
- ひびの幅を測る
ひびの幅を測るための目盛り付きのカード(クラックスケール)を当てると、0.3mm・0.5mmが見分けられます。手元に無ければ、シャープペンシルの芯(0.3mm・0.5mm)を横に並べて、太さを比べるだけでも目安になります。ひびの中に物を差し込むのはやめてください。
- 定規を当てて写真を撮る
ひびの全体が入る写真と、定規を当てて近くから撮った写真の両方を残します。家のどの面の、どの高さかも分かるように、少し離れた所からも1枚撮っておきます。
- ひびの両端に、はがせるテープで印と日付を付ける
手の届く1階の高さなら、ひびの両端のすぐ外側に、はがせるテープを貼って日付を書いておきます。ひびに直接書き込んだり、ひびをテープでふさいだりはしません。
- 数か月おきに、同じ場所を同じように撮る
ひびが長くなっていないか、幅が広がっていないかを、前の写真と比べます。大きな地震や台風のあとにも撮っておくと、いつ変わったかが分かります。
- 家の中も見る
外のひびと同じ側の部屋の壁にひびがないか、窓や戸の開け閉めが急に重くなっていないかも見ておきます。国の住宅の調査の基準でも、内壁のひびと、窓や戸の開け閉めの具合は確かめる項目に入っています。
外壁材の業界団体(日本窯業外装材協会)も、サイディングの家について「日頃から建物の外壁を目視にて点検を行ってください」と案内しています。
WHEN TO ASK
早めに見てもらうひび・様子を見てよいひび
早めに見てもらうひび
次のどれかに当てはまるときは、雨漏りしていなくても、早めに相談してください。
- 基礎(コンクリート)のひびで、幅が0.5mm以上ある
- ひびから、さび色の汁がにじんでいる。中の鉄筋が見えている
- ひびの奥に、下地の板や防水の紙、網のようなものが見える
- 外壁の板を何枚もまたいで、ひびが続いている
- ひびのまわりの壁が浮いている・ふくらんでいる・はがれかけている
- 前の写真と比べて、ひびが長く・太くなっている
- 外のひびと同じ側の部屋の壁にもひびがある。窓や戸の開け閉めが急に重くなった
- 板のつなぎ目や窓まわりのゴム状の詰め物(シーリング)が切れて、すき間が開いている
様子を見てよいひび(記録は続けてください)
- 表面の塗装だけに出ている、髪の毛のように細いひび
- 基礎のひびで、幅が0.3mm未満
- 何か月か比べても、長さも幅も変わらない
様子を見てよいひびでも、外壁の塗り替えを考える時期なら、そのときに一緒に見てもらうと手間が1回で済みます。 板のつなぎ目のシーリングが切れているときは、外壁材の業界団体も「接合部のシーリング材は永久的なものではありません」としています。 コーキング(シーリング)については用語集もご覧ください。
DIY
自分で埋める前に知っておきたいこと
埋める前に、必ず記録を残す
ホームセンターなどの補修材でひびを埋めたくなりますが、埋めてしまうと、 あとからひびが広がったか、どこまで続いていたかが分からなくなります。 見てもらうときにも、原因を見分ける手がかりが減ります。 埋めるかどうかを決める前に、幅を測り、定規を当てた写真と日付を残してください。
基礎のひびや、下地まで届いていそうなひびは、埋めずに相談してください。 表面だけを埋めても、家を支える部分が動いているなら、またひびが出ます。
2階の外壁に、脚立やはしごで上らないでください
国民生活センターには、脚立やはしごからの転落事故が433件寄せられています。 60〜70歳代が半数以上を占め、約半数は入院が必要になり、死亡事故も3件起きています。 2階の外壁のひびは、地上から写真を撮る(スマートフォンのズームを使う)までにしてください。 ご自身でできることの全体は雨漏り修理は自分でできる?にまとめています。
REPAIR
ひびの直し方の例
どう直すかは、ひびの幅・深さ・外壁の種類・原因で決まります。次はよくある例です。 実際の直し方は、現地で見て決まります。
- 1 表面の細いひび
- 外壁の塗り替えのときに、下地を整える作業の中でひびを埋めてから塗ることが多いひびです。これだけのために、すぐ工事をするとは限りません。
- 2 幅のあるひび
- ひびに沿って補修材を詰め、表面を平らに整えてから塗り直すことがあります。ひびの形や深さで、詰める前の下ごしらえが変わります。
- 3 板の割れ・欠け
- サイディングなど板を張った外壁では、割れた板の補修や、板の張り替え・留め直しになることがあります。
- 4 つなぎ目のシーリングの切れ
- 板と板のつなぎ目や窓まわりの詰め物(シーリング)が切れているときは、古いものを取り除いて新しく詰め直すことがあります。
- 5 家を支える部分が原因のひび
- 基礎や柱など、家を支える部分の動きが疑われるときは、表面を埋める前に、原因を調べることが先になります。
費用は、直す場所の広さ・2階かどうか(足場が要るか)・塗り替えと一緒にするかで大きく変わるため、目安の金額は載せていません。
直したあとに外壁の色を変えるなら、京都市の風致地区などでは手続きが要ることがあります。 元の色で塗り直すのは修繕として許可が要らない、という例が市の資料にあります。 くわしくは京都市の景観の決まりと屋根工事をご覧ください。
NEW HOMES
建ててから10年たっていない家は、まず建てた会社か売主へ
法律(住宅品質確保法)で、新築住宅の売主などは、家を支える部分(基礎・壁・柱など)と、雨水を防ぐ部分(屋根・外壁・窓など)について、 引き渡しから10年間の責任を負うことになっています。 基礎や外壁のひびが気になるときは、まず建てた会社か売主に連絡してください。 ほかの会社に先に直してもらうと、原因が分かりにくくなることがあります。
建てた会社とのやりとりで困ったときは、公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの 電話相談「住まいるダイヤル」(03-3556-5147、10時〜17時。土日・祝休日・年末年始を除く)で、建築士に相談できます。
どこに頼むかの全体は雨漏り修理はどこに頼む?にまとめています。
KYOTO
京都で:大きな地震のあとに確かめること
2018年6月18日の大阪府北部の地震では、気象庁の発表で、京都市・亀岡市など京都府内の18の市区町村で震度5強が観測されました。 京都でも、大きな地震のあとに外壁や基礎のひびに気づくことがあります。
- 揺れがおさまってから、地上から基礎と外壁を1周見て、ひびを撮っておく
- 地震の前の写真があれば、同じ場所を比べる(ふだんから撮っておくと、ここで役に立ちます)
- 家の中の壁のひびや、窓・戸の開け閉めの具合も見ておく
- 地震保険に入っているときは、直す前にご加入の保険会社か代理店に連絡する。 日本損害保険協会によると、木造(在来の工法)の家の損害は、軸組・基礎・屋根・外壁に着目して調べます
地震のあとは、「ひびが入っています、すぐ直さないと」と突然訪ねてくる業者にも気をつけてください。 その場で契約せず、写真を撮ってから考えても遅くありません。 断り方は「屋根が浮いてますよ」と訪問を受けたらをご覧ください。
LEAKS
室内にしみが出ているときは、雨漏りの記事へ
ひびのある側の部屋の天井や壁に、しみが出ている、雨の日に湿っぽい、というときは、雨水が入っているかもしれません。 雨漏りの入口の探し方は雨漏りの原因の調べ方、 ひびやすき間を埋めて雨漏りが止まるかどうかは雨漏りは塗装やコーキングで止まる?にまとめています。
BEFORE YOU ASK
相談するときに伝えるとよいこと
分かる範囲で、次のことを伝えていただくと、どんなひびか見当がつけやすくなります。
- ひびがある場所(外壁か基礎か、家のどの面か、1階か2階か)
- 外壁の種類(塗り壁か、板を張った壁か。分からなければ「分からない」で大丈夫です)
- 測った幅と、定規を当てた写真
- 気づいた時期と、それから長さや幅が変わったか
- 大きな地震や台風のあとに気づいたかどうか
- 家を建てた(買った)年。10年たっていない場合は、その旨
- 室内のしみ・壁のひび・窓や戸の開け閉めの具合
京都やねリフォームにご相談いただくと、お住まいのエリアを担当する施工店が、現地で外壁と基礎のひびを調べ、直し方とお見積りをお出しします。 ご契約・お見積り・保証・ご請求は、担当施工店とお客様との間で直接行います。
外壁や基礎のひびが気になるときは、京都やねリフォームにご相談ください。お住まいのエリアを担当する施工店が、現地でひびを調べます。
070−8456−4032受付時間 平日・土日祝 10:00〜19:00
時間外はフォームから承ります。翌日の朝一番にご連絡します。
24時間受付のフォームで相談するFAQ
よくいただくご質問
髪の毛くらいの細いひび(ヘアクラック)は、放っておいても大丈夫ですか?
表面の塗装だけに出ている細いひびで、何か月か比べても長さや幅が変わらないなら、すぐに工事が要るとは限りません。ただ、放っておくのではなく、写真と日付を残して様子を見てください。長くなる・太くなる、まわりが浮いてくる、何枚もの板にまたがって続く、といった変化があれば早めに見てもらってください。なお、「ヘアクラックは何mm未満」という決まりは、今回確かめた国の基準には見当たりませんでした。
「0.3mm以上のひびは危ない」と聞きました。外壁にも当てはまりますか?
国の基準で0.3mm・0.5mmという幅が出てくるのは、基礎などのコンクリートと、鉄筋コンクリートの壁です。木造の家のモルタルやサイディングの外壁は、幅ではなく、ひびが仕上げの下の板(下地)まで届いているか、何枚もの板にまたがっているか、浮きやはがれがあるかで見る決まりになっています。
外壁のひびを、自分でコーキングで埋めてもいいですか?
埋める前に、幅を測り、定規を当てた写真と日付を残してください。埋めてしまうと、あとからひびが広がったか、どこまで続いていたかが分からなくなります。基礎のひびや、下地まで届いていそうなひびは、埋めずに相談してください。2階の外壁に脚立やはしごで上るのはやめてください。
家を建ててから10年たっていません。どこに相談すればいいですか?
まず、建てた会社か売主に連絡してください。法律(住宅品質確保法)で、新築住宅の売主などは、基礎や壁など家を支える部分と、外壁など雨水を防ぐ部分について、引き渡しから10年間の責任を負うことになっています。ほかの会社に先に直してもらうと、原因が分かりにくくなることがあります。
地震のあとに、外壁のひびが増えた気がします。
地上から、基礎と外壁を1周見て、ひびの写真を撮ってください。地震の前の写真があれば比べます。地震保険に入っている場合、木造の家の損害は外壁や基礎なども見て決まるので、直す前にご加入の保険会社か代理店に連絡してください。
ひびのまわりの部屋に、しみが出てきました。
雨水が入っているかもしれません。この記事は雨漏りしていない段階の話なので、雨漏りの原因の調べ方の記事と、塗装やコーキングで雨漏りが止まるかの記事をご覧ください。
SOURCES
この記事の出典
- 国土交通省 住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準 (平成12年建設省告示第1653号、最終改正 平成18年国土交通省告示第308号。2026年10月2日確認)
- 国土交通省 既存住宅状況調査方法基準 (平成29年国土交通省告示第82号。2026年10月2日確認)、 同基準の一部改正 (令和6年国土交通省告示第1235号。2026年10月2日確認)
- 国土交通省 住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要 (令和4年9月15日。2026年10月2日確認)
- 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター 住まいるダイヤル 電話相談 (2026年10月2日確認)
- 国民生活センター 思わぬ大けがに!高齢者の脚立・はしごからの転落 (2019年3月28日公表、2024年9月12日更新。2026年10月2日確認)
- 一般社団法人 日本窯業外装材協会 メンテナンスについて (2026年10月2日確認)
- 気象庁 平成30年6月18日07時58分頃の大阪府北部の地震について (報道発表。2026年10月2日確認)
- 日本損害保険協会 地震保険 損害の認定基準について (2026年10月2日確認)
- 景観の決まりの出典は京都市の景観の決まりと屋根工事に載せています。