COLUMN
屋根の部分修理、見積もりの金額に幅がある理由|金額を動かす8つと見積書の見方
棟板金の浮き、瓦のずれ、漆喰、雨どいなどの修理で、業者によって見積もりが何倍も違い、戸惑っている方へ。
SUMMARY
結論:金額の差は、見積りに入っている「中身」の差であることが多いです。そろえてから比べてください
屋根の部分修理は、直す所が小さいぶん、 足場・安全対策・調査・処分といった、修理そのもの以外の費用が総額の中で大きな割合を占めやすくなります。 これを入れるか、別にするか、そもそも要らないと考えるかが会社ごとに違うので、金額が大きく割れます。
比べるときは、「足場を組むか」「どこまで直すか」「修理以外の費用が入っているか」の3つをそろえてから比べてください。 そろえないまま安いほうを選ぶと、あとから足場や追加の費用が乗って、総額が逆転することがあります。
見積りA
- 修理そのもの
- 足場
- 屋根の上の安全対策
- まわりもまとめて交換
- 外した材料の処分
- 調査
見積りB
- 修理そのもの
- 足場:組まない(はしごで作業)
- まわり:傷んだ所だけ
- 処分・調査:「別途」と小さく書いてある
積み木の数は、見積りに入っている項目の数です(金額の大きさではありません)。 Bが安く見えても、Aと同じ工事になっているとは限りません。
8 FACTORS
金額を動かす8つのこと
- 足場・安全対策
- 屋根材と直す範囲
- 雨樋など周辺部材
- 調査・見積書の中身
見積もりの金額を動かす要因の例です。実際に必要な工事や費用は、屋根の状態と現地調査で決まります。
見積りを受け取ったら、次の8つがそれぞれどう扱われているかを見てください。
- 足場を組むか、組まずに作業するか
- 足場の組み方(隣の家との距離・道路)
- 同じ屋根材が手に入るか
- どこまで直すか
- 開けてみないと分からない下地
- 調査費・出張費の扱い
- 外した材料の処分とアスベストの調査
- 火災保険に出す書類
1. 足場を組むか、組まずに作業するか
労働安全衛生規則は、高さ2メートル以上の場所で落ちるおそれのある作業をするとき、 足場を組むなどして作業する床を設けるよう、工事をする会社に求めています。 床を設けるのが難しいときは、防網を張る、命綱(墜落制止用器具)を使わせるなどの方法で落ちないようにすることになっています。
つまり、足場を組んで直す見積りと、足場を組まずに命綱などで直す見積りの、どちらもありえます。 どちらにするかは、屋根の高さや傾き、作業の内容などを現場で見て、会社が判断します。 金額が大きく違うときは、まずここが違っていないかを確かめてください。
スレートの屋根は、上を歩くと踏み抜くおそれがあるため、同じ規則で歩み板を敷くなどの対策も求められています。 こうした安全対策が、見積りに別の行として載ることもあります。
2. 足場の組み方(隣の家との距離・道路)
足場を組む場合も、組み方は家のまわりの広さで変わります。 2024年4月からは、建物のまわりに1メートル以上の幅がある場所では、原則として、柱を内側と外側の2列に立てる足場(本足場)を使うことになりました。 幅が1メートルに満たない場所はこの決まりの対象外で、障害物があって本足場を組めない場所も例外として、別の組み方になります。
お隣の敷地を借りないと足場を立てられないこともあります。 民法では、修繕のために必要な範囲で隣の土地を使えますが、前もって目的・日時・場所・方法をお隣に知らせることになっていて、 お隣の住まいの中に入るには承諾が要ります。 足場や作業が道路にかかるときは、警察署長の許可が要ります。 こうした手間が、見積りの差になって出ることがあります。
3. 同じ屋根材が手に入るか
古い屋根では、同じ瓦やスレートがもう作られていないことがあります。 同じものが手に入らなければ、似た材料で直すか、別の方法で直すかを選ぶことになり、方法によって金額が変わります。 スレート屋根のメーカーのケイミューは、自社の屋根材の割れやずれは差し替えや接着などで直せると案内しています。 同じ「割れの修理」でも、差し替えるのか、貼り合わせるのかで中身が違います。
見積書に材料の名前が書いていなければ、今と同じ材料か、似た材料かを聞いてください。 京都市内の景観の決まりがある地区で、見た目の変わる材料を使うときの手続きは、 京都市の景観の決まりと屋根工事にまとめています。
4. どこまで直すか
同じ「棟板金が浮いている」でも、浮いた所の釘を打ち直すだけの見積りと、板金を下の木ごと取り替える見積りがあります。 瓦のずれも、ずれた1枚だけを直すのか、まわりの瓦もまとめて留め直すのかで、手間が大きく変わります。
どちらが正しいかは、屋根の傷み方しだいです。狭く直せば安くなりますが、すぐにまわりが傷むこともあります。 大事なのは、なぜその範囲にしたのかを、写真を見せて説明してもらえるかです。 棟板金が浮く理由は棟板金とは?浮く3つの原因と、地上から確かめる方法に書いています。
5. 開けてみないと分からない下地
屋根材の下の板(野地板)や防水シートがどれだけ傷んでいるかは、屋根材を外してみるまで分からないことがあります。 傷んでいれば、そこまで直すことになり、金額が上がります。
そのため、最初の見積りの金額だけでは比べられません。 下地が傷んでいたときに追加の費用が出る条件が、見積りの時点で書いてあるかを見てください。 書いていない見積りは、安く見えても、あとで金額が動く余地を残しています。
6. 調査費・出張費の扱い
屋根を見に来てもらう費用を、無料にしている会社と、有料にしている会社があります。 雨漏りの原因を水をかけて確かめる調査などは、有料のことが多い調べ方です。 見積りの総額に入っているのか、別なのか、工事をしなかった場合もかかるのかを確かめてください。 調べ方の違いは雨漏りの原因の調べ方にまとめています。
7. 外した材料の処分とアスベストの調査
工事で出た瓦や板金などのごみは、お客様から直接工事を請け負った会社が、出した者として処理の責任を負うと法律で決まっています。 そのため、処分の費用が見積りに別の行で載ることがあります。 総額に入っているかどうかを確かめてください。
古いスレートなどを外したり割ったりする工事では、補修の工事でも、 石綿(アスベスト)が含まれているかを前もって調べ、結果を書面で説明することが法律で求められています。 この調査の費用が載っている見積りと載っていない見積りでは、金額が違って見えます。 「この工事でアスベストの調査は要りますか」と聞いてください。
8. 火災保険に出す書類
台風などで傷んだ所を火災保険で直すつもりなら、そのことを見積りを頼むときに伝えてください。 保険会社に出す見積書や写真を用意してもらえるか、そのための費用が別にかかるかは、会社によって違います。 保険が使えるかどうかを決めるのは保険会社です。使える場合・使えない場合と、申請の手伝いを持ちかけてくる業者の注意点は、 雨漏りに火災保険は使える?にまとめています。
見積りの金額の違いが分からないときは、京都やねリフォームにご相談ください。お住まいのエリアを担当する施工店が、現地調査・お見積りを行います。
070−8456−4032受付時間 平日・土日祝 10:00〜19:00
時間外はフォームから承ります。翌日の朝一番にご連絡します。
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見積書で確かめる8つの項目
お手元の見積書と見比べてください。書いていない項目があれば、添えてある一言でそのまま聞いてかまいません。 比べる見積りどうしで、この8つがそろっているかも見てください。
-
直す場所と範囲が、数や長さで書いてあるか(「棟 一式」だけになっていないか)
書いていなければ 「どこを、何枚(何メートル)直しますか。写真で示してもらえますか」
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足場を組むかどうかが書いてあるか。組む場合、足場代は総額に入っているか
書いていなければ 「足場は組みますか。組まない場合、屋根の上の安全はどう確保しますか」
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使う材料の名前(製品名)が書いてあるか。同じ材料か、似た材料か
書いていなければ 「今の屋根と同じ材料ですか。違う場合、見た目はどのくらい変わりますか」
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下地が傷んでいたときに、追加の費用が出る条件が書いてあるか
書いていなければ 「追加の費用が出るのは、どんなときですか。そのときは工事の前に連絡をもらえますか」
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調査費・出張費が、総額に入っているか、別になっているか
書いていなければ 「見積りまでの費用はかかりますか。工事をしなかった場合もかかりますか」
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外した材料の処分費が、総額に入っているか
書いていなければ 「外した瓦や板金の処分は、この金額に入っていますか」
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(古いスレート屋根なら)アスベストの調査のことが書いてあるか
書いていなければ 「この工事で、アスベストの事前調査は要りますか。結果は書面でもらえますか」
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(火災保険を使うなら)保険会社に出す見積書や写真を用意してもらえるか
書いていなければ 「保険会社に出す書類を作ってもらえますか。別に費用はかかりますか」
その場で契約を急かされても、決めなくてかまいません。見積書を持ち帰って、ご家族と相談してから決めてください。 突然訪ねてきた業者の見積りなら、 「屋根が浮いてますよ」と訪問を受けたらも読んでおいてください。
KYOTO HOMES
京都の家で気をつけたいこと
路地や家が密集している場所では、足場の条件が家ごとに違います
家どうしが近いと、足場を立てる場所が限られ、組み方も変わります。 お隣の敷地や道路を使うかどうかで、前もってすることも増えます。 同じ修理でも、ご近所の家と見積りが違うのはこのためのことがあります。 お隣には、工事の前にひと声かけておくとトラブルを防げます。
古い瓦屋根は、直し方が分かれやすい
古い瓦屋根では、同じ瓦が手に入らないことがあります。 京都市も、風致地区の運用の中で、元の瓦が手に入らないときに似た瓦で直す場合の扱いを定めています。 また、瓦の下に土を敷いて留める土葺き(どぶき)の屋根は、作りが今の屋根と違います。 どの瓦を使い、どこまで直すかで会社ごとの考え方が分かれやすいので、 材料と範囲を、写真を見ながら説明してもらってください。 土葺きの屋根の雨漏りの特徴は雨漏りの原因の調べ方に書いています。
FAQ
よくいただくご質問
見積書で、足場代のほうが修理そのものより高くなっています。おかしくないですか?
部分修理では、そうなることがあります。足場を組む場合は、直す所が小さくても、家のまわりに組むことになるからです。気になるときは、足場が本当に要るのか、組まない方法は無いのか、ほかに足場を使う工事とまとめられないかを聞いてください。
「足場なしでできます」と言われました。大丈夫ですか?
法律は、高さ2メートル以上の場所で作業するときは足場などで作業する床を設けること、それが難しいときは命綱(墜落制止用器具)などで落ちないようにすることを、工事をする会社に求めています。足場を組まないこと自体がすぐに問題になるわけではありません。どうやって安全を確保するのかを聞いて、説明に納得できるかで判断してください。
見積書に「一式」としか書いてありません。
比べるときに困る書き方です。直す場所・範囲(何枚、何メートル)・使う材料・足場の有無を聞いて、書き足してもらってください。口頭の説明だけで済ませず、書面か写真で残しておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。
ほかの工事と一緒にすると安くなりますか?
足場を使う工事(雨どいの修理や外壁の工事など)をまとめると、足場を1回で済ませられることがあります。ただ、いま必要のない工事まで一緒に勧められていないかは、分けて考えてください。急がない工事は、その場で決めなくてかまいません。
ほかの業者から受け取った見積りを見てもらえますか?
他社からすでにお見積りを受け取っている場合は、その見積りの見方をご説明します(セカンドオピニオン)。足場代が含まれているか、追加費用が発生する条件がどう書かれているかなどを、一緒に確認します。お見積りの作成やご契約は、担当施工店との間で直接行っていただきます。
SOURCES
この記事の出典
- 労働安全衛生規則 第518条(作業床の設置等)・第524条(スレート等の屋根上の危険の防止)・第561条の2(本足場の使用) (e-Gov法令検索)
- 民法 第209条(隣地の使用) (e-Gov法令検索)
- 道路交通法 第77条(道路の使用の許可) (e-Gov法令検索)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第21条の3(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外) (e-Gov法令検索)
- 大気汚染防止法 第18条の15(解体等工事に係る調査及び説明等) (e-Gov法令検索)
- ケイミュー株式会社 お問い合わせ・FAQ (カラーベストの割れやズレは取り替えができる?)
- 京都市 京都市風致地区条例による許可基準の解釈と運用 (令和4年4月)