COLUMN

瓦屋根の修理|ずれ・割れ・漆喰のはがれ、それぞれの直し方

地上からスマートフォンで瓦屋根を撮影する住人のイラスト

瓦のずれや割れ、漆喰のはがれに気づいて、どう直すのか知りたい方へ。

SUMMARY

結論:傷んでいる場所で、直し方が変わります。見るのは地上からだけにしてください

瓦屋根の修理は、どこが傷んでいるかで中身が変わります。 瓦が割れたなら差し替え、棟の下の白い漆喰がはがれたなら漆喰の詰め直し、 棟がゆがんだなら棟の積み直し。 瓦の下の防水シートまで傷んでいたり、古い土葺きの屋根だったりすると、 屋根全体の葺き直し・葺き替えになることがあります。

どの直し方が要るかは、現地で見ないと決まりません。 ご自身でできるのは、地上から見て、写真を撮ることまでです。屋根には上らないでください。 天井にシミが出ているなら、天井のシミは雨漏り?もあわせてご覧ください。

PARTS

瓦屋根の3つの部分

瓦屋根は、屋根の面をおおう瓦と、いちばん上に積まれた棟瓦、 その下のすき間をふさぐ漆喰でできています。症状を見るときも、この3つに分けて見ると分かりやすくなります。

京町家風の2階建て住宅の瓦屋根を斜めから見た図。棟のいちばん上に丸瓦を積んだ棟瓦、その下に白い漆喰の帯、屋根一面に並ぶ瓦、軒先の横どい、外壁を伝う縦どいが描かれている
  1. 棟瓦

    屋根のいちばん上(棟)に積まれた瓦です。

  2. 漆喰

    棟瓦の下のすき間をふさいでいる白い帯です。

  3. 瓦

    屋根の面をおおっている瓦です。

瓦のすぐ下には防水シートが敷いてあり、瓦のすき間から入った少しの雨水を受けて、軒先へ流しています。 瓦が割れたりずれたりしても、すぐに雨漏りにならないのはこのためです。 ただ、入る水が増えたり、シートが古くなったりすると、雨漏りにつながります。

SYMPTOMS

症状ごとの直し方の早見表

瓦のずれ、瓦の割れ、漆喰のはがれ、棟のゆがみを並べた4つのイラスト
  1. 上段左:瓦のずれ・浮き
  2. 上段右:瓦の割れ・欠け
  3. 下段左:漆喰のはがれ
  4. 下段右:棟のゆがみ
傷み方の例です。実際に必要な修理は、現地で確認して決まります。

地上から見えた様子を、左の列から探してみてください。 「主な直し方」は、よくある例です。実際の直し方は、現地で傷みの広さを見て決まります。

表は横にスクロールできます。

症状 地上からの見え方 主な直し方 雨漏りとの関係
瓦のずれ・浮き 瓦の並びが波打つ、すき間が見える、1枚だけ持ち上がっている ずれた瓦を戻して留め直す。数が多ければ葺き直し すき間から入る水が増えると、雨漏りにつながることがあります
瓦の割れ・欠け 瓦の角が欠けている、ひびが入っている、破片が地面に落ちている 割れた瓦だけを新しい瓦に差し替える 割れ目から水が入ります。放っておくと広がりやすくなります
漆喰のはがれ 棟の下の白い帯が欠けている、黒ずんでいる、白いかけらが落ちている 古い漆喰を取って詰め直す。中の土まで傷んでいれば棟の積み直し 中の土が雨で流れ出すと、棟がゆがむ原因になります
棟のゆがみ 屋根のいちばん上の線が、まっすぐでなく曲がって見える 棟をいったんばらして積み直す 棟のすき間から水が入り、雨漏りの原因になることがあります
土葺きの屋根の傷み 古い家の屋根で、ずれが何か所もある。瓦のすき間から草が生えている 部分修理で済まないことが多く、葺き直しか葺き替え 土に水がしみ込み、雨がやんでしばらくしてから天井に出ることがあります

瓦のずれ・浮き

強い風や地震のあとに起きやすい傷みです。ずれた瓦を元の位置に戻し、留め直して直します。 ずれが屋根のあちこちにあるときは、瓦を留めている木や下地が傷んでいることがあり、 葺き直しをすすめられることもあります。

瓦の割れ・欠け

割れた瓦だけを新しい瓦に入れ替える差し替えで直すのが一般的です。 今の瓦と形や色味の合う瓦があるかどうかで、使う瓦が変わります。

漆喰のはがれ(漆喰の補修)

漆喰は、棟瓦の下のすき間をふさいで、中の土を雨から守っている白い塗り材です。 年月がたつと痩せたり、はがれたりします。はがれが小さいうちは、古い漆喰を取って新しく詰める詰め直しで直します。 中の土が流れ出して棟がゆがんでいるときは、詰め直しでは足りず、棟の積み直しになることがあります。

棟のゆがみ

屋根のいちばん上の線(棟)が波打って見えるのは、棟瓦の下の土が痩せたり、留め具が傷んだりして、棟瓦が動いている合図です。 棟をいったんばらして積み直す棟の積み直しで直します。

土葺きの古い屋根

瓦の下に土を敷いて並べる土葺き(どぶき)は、昔の瓦屋根の作り方です。 土が傷んでずれが何か所にも出ているときは、一部を直してもほかの所で次々にずれることがあり、 屋根全体の葺き直しや葺き替えを考える時期になっていることが多くあります。

REPAIR METHODS

瓦屋根の直し方5つ

小さい工事から順に並べています。

1 差し替え
割れた瓦や欠けた瓦を抜いて、新しい瓦に入れ替えます。周りの瓦を少し持ち上げて入れ替えるので、直す範囲は小さく済みます。
2 漆喰の詰め直し
棟の下の、傷んだ漆喰を取り除いて新しく詰めます。古い漆喰をどこまで取り除くのか、どの範囲(棟の何メートル分か)を直すのかを、見積書で確かめてください。
3 棟の積み直し
屋根のいちばん上の棟瓦をいったん外し、中の土や留め具を新しくして積み直します。漆喰のはがれが進んで、棟がゆがんだときの直し方です。
4 葺き直し(ふきなおし)
屋根の瓦をいったん全部外し、下の防水シートや、瓦を留める木を新しくしてから、もとの瓦を並べ直します。瓦そのものはまだ使えて、下が傷んでいるときの直し方です。
5 葺き替え(ふきかえ)
瓦も下地も新しくします。同じ瓦にするほか、軽い瓦や金属の屋根に替えることもあります。瓦屋根は形に凹凸があるので、上から重ねるカバー工法はできません。

葺き替えとカバー工法の違い、カバー工法を選べない場合は 屋根は葺き替えとカバー工法どっち?でくわしく説明しています。

2022年1月から、新しく建てる家の瓦は「全部留める」決まりに

国土交通省は、2019年の台風(令和元年房総半島台風)で瓦が飛ぶ被害が多く出たことを受けて、 瓦の留め方の基準を見直しました。2022年1月1日から、新しく建てる建物では、すべての瓦を留めることが義務になっています。

  • 昔の瓦屋根:留めるのは、軒先と屋根の端の2枚までの瓦と、棟は1枚おきの瓦だけ
  • いまの基準:軒先・屋根の端・棟・屋根の面の、すべての瓦を、くぎやねじで留める

義務になったのは新しく建てる建物で、今ある屋根をすぐ直さなければならない決まりではありません。 ただ、棟の積み直しや葺き直しをするときは、いまの基準と同じ留め方で直せるかを、担当施工店に聞いてみてください。

CHECK FROM THE GROUND

ご自身でできること:地上から見て、写真を撮る

国土交通省の所有者向けの資料には、地上から確かめるチェックポイントが3つ挙げられています。 1つでも当てはまれば、一度専門の業者に見てもらう目安になります。

  • 2001年より前に建てた家で、2001年以降に屋根を直していない
  • 瓦にずれや浮き上がりがある
  • 瓦が大きく割れている・欠けている

見るときのコツ

  1. 道路や庭から、双眼鏡かスマホのズームで見る

    屋根の面、棟のいちばん上の線、棟の下の白い帯(漆喰)を順に見ます。向かいの家や坂の上から見える場合もありますが、よその敷地には入らないでください。

  2. 気になる所は写真に撮っておく

    日付が分かるように撮っておくと、ずれが広がっているかを比べられ、相談するときにも話が早くなります。

  3. 地面に落ちているものを見る

    瓦のかけらや、白い漆喰のかけらが庭や雨どいの下に落ちていないかを見ます。台風や地震のあとはとくに見てください。

屋根には上らないでください

同じ資料でも「屋根の状況を把握するために、屋根には絶対登らないでください」と書かれています。 濡れた瓦や古い瓦はとても滑り、踏んだ所の瓦が割れることもあります。 はしごをかけて屋根をのぞくのも、同じように危険です。

「瓦屋根の雨漏りを自分で直したい」と考えている方も、ご自身でできるのは、地上から見ることと、 室内で水を受けることまでにしてください。くわしくは 雨漏り修理は自分でできる?と 雨漏りの応急処置にまとめています。

また、突然訪ねてきた業者に「瓦がずれていますよ」と言われても、その場で屋根に上らせたり、契約したりしないでください。 対処のしかたは「屋根が浮いてますよ」と訪問を受けたらにまとめています。

LEAKS

瓦屋根の雨漏りにつながるとき

瓦のずれや割れがあっても、すぐに雨漏りになるとは限りません。 瓦の下の防水シートが水を受けているからです。雨漏りになりやすいのは、次のようなときです。

  • 割れやずれが大きく、瓦の下に入る水の量が増えたとき
  • 瓦の下の防水シートや、その下の板(野地板)が古くなって傷んだとき
  • 棟のすき間から水が入ったとき
  • 土葺きの屋根で、しみ込んだ水が土にたまったとき

防水シートや下地が傷んでいるときは、瓦の差し替えだけでは雨漏りが止まらず、葺き直しや葺き替えが要ることがあります。 雨漏りの入口は屋根以外のこともあるので、原因の調べ方は 雨漏りの原因の調べ方をご覧ください。

KYOTO

京都の瓦屋根で気をつけたいこと

台風:2018年9月4日、京都で観測史上2番目の強い風

気象庁の記録では、京都(京都地方気象台)の最大瞬間風速は、2018年9月4日の 39.4m/s が、1934年9月21日の 42.1m/s に次いで観測史上2番目です(1915年からの記録)。この日は台風第21号が近畿地方を縦断しました。

強い風のあとは、地上から瓦のずれ・割れと、落ちているかけらを確かめてください。台風などの災害で傷んだ屋根は、火災保険の対象になることがあります。

くわしくは雨漏りに火災保険は使える?をご覧ください。

地震:傷みやすいのは棟

国の研究機関(国土技術政策総合研究所・建築研究所)が2021年の福島県沖の地震のあとに調べたところ、棟の瓦が落ちた屋根は、どれも瓦が下地にきちんと留められていませんでした。同じ地域で、いまの業界の手引きどおりに作られたと思われる屋根には、外から見て被害は見当たらなかったと報告されています。

棟の積み直しを頼むときは、どうやって瓦を留めるかも聞いてみてください。

町家や古い家:土葺きの屋根が残っている

京町家など古い家の屋根には、瓦の下に土を敷いて並べた土葺き(どぶき)のものがあります。土の分だけ屋根が重く、土が傷むと瓦がずれやすくなります。直すときは、軽い屋根に葺き替える工事が京都市の補助金の対象になる場合があります。

くわしくは【2026年】京都市の屋根の補助金|木造20万円まで・京町家30万円までをご覧ください。

いぶし瓦:同じ色味の瓦をそろえる

いぶし瓦は、高い温度で焼いた瓦をいぶして、表面に炭の薄い膜をつけた瓦です。銀色のつやが特徴で、京都市の景観の決まりがある美観地区などでは、瓦は原則「いぶし銀」とされています。

公的な研究機関の資料でも、いぶし瓦は年月がたつと色が変わることがあるとされています。差し替えで新しい瓦を入れると、まわりの古い瓦と色味が違って見えることがあるので、どの瓦を使うかを先に相談しておくと安心です。

景観の決まり:見た目が変わらない修理なら、ほとんどの場合手続きなし

割れた瓦の差し替えや棟の積み直しのように、見た目が変わらない修理は、ほとんどの場合、景観の手続きは要らないと考えられます。瓦から別の屋根材に替える、色を変えるといった工事は、地区によって手続きが要ります。

くわしくは京都市の景観の決まりと屋根工事をご覧ください。

COST

瓦の修理の費用について

差し替え・漆喰の詰め直し・棟の積み直しのような部分的な修理は、目安の金額を載せていません。 直す範囲(瓦が何枚か、棟が何メートルか)や、足場が要るかどうかで、金額が大きく変わるためです。 京都の業者が公開している価格も、出し方がそろっておらず、同じ条件で比べることができませんでした。

見積もりの金額を動かす項目と、見積書で確かめることは 屋根の部分修理、見積もりの金額に幅がある理由にまとめています。 屋根全体の葺き替えの参考価格は、屋根は葺き替えとカバー工法どっち?に載せています。

京都市の屋根の補助金は、屋根全体を軽い屋根に葺き替える工事が対象で、瓦の差し替えのような一部の修理は対象になりません。 条件は【2026年】京都市の屋根の補助金|木造20万円まで・京町家30万円までをご覧ください。

BEFORE YOU ASK

相談するときに伝えるとよいこと

分かる範囲で、次のことを伝えていただくと、どんな直し方になりそうか見当がつけやすくなります。

  • 気になっている症状(ずれ・割れ・漆喰・棟のゆがみ)と、気づいた時期
  • 地上から撮った屋根の写真(棟のいちばん上の線と、屋根の面が入るように)
  • 台風・地震・強い雨のあとに気づいたかどうか
  • 雨漏りや天井のシミがあるか。あれば、どの部屋か
  • 建物のおおよその築年数と、屋根を前に直した時期(分かれば)

京都やねリフォームにご相談いただくと、お住まいのエリアを担当する施工店が現地で屋根を調べ、直し方とお見積りをお出しします。 ご契約・お見積り・保証・ご請求は、担当施工店とお客様との間で直接行います。

瓦のずれや割れ、漆喰のはがれが気になるときは、京都やねリフォームにご相談ください。お住まいのエリアを担当する施工店が、現地で屋根を調べます。

070−8456−4032

受付時間 平日・土日祝 10:00〜19:00

時間外はフォームから承ります。翌日の朝一番にご連絡します。

24時間受付のフォームで相談する

FAQ

よくいただくご質問

瓦屋根の雨漏りは、自分で修理できますか?

おすすめしません。濡れた瓦や古い瓦はとても滑り、踏むと割れることもあります。国土交通省の資料でも、屋根の状態を知るために「屋根には絶対登らないでください」と呼びかけています。ご自身でできるのは、地上から見て写真を撮ることと、室内で水を受けることまでです。

割れた瓦が1枚だけです。それでも直したほうがいいですか?

割れ目から雨水が入るので、早めに差し替えるのがおすすめです。瓦の下の防水シートがしばらく水を受けてくれますが、それにも限りがあります。1枚の差し替えでも、高い所の作業なので専門の業者に頼んでください。

漆喰がはがれていると言われました。すぐに直さないといけませんか?

漆喰は棟の中の土を雨から守っています。はがれた所から土が流れ出すと、棟がゆがむ原因になります。ただ、急ぐかどうかは、はがれの広さや棟の状態によります。突然の訪問で言われた場合は、その場で契約せず、地上から撮った写真で確かめてから決めてください。

古い瓦屋根は、新しい留め方の決まりに合わせないといけませんか?

2022年1月から義務になったのは、新しく建てる建物の瓦の留め方です。今ある屋根をすぐ直さなければならない、という決まりではありません。ただ、国は2001年より前の瓦屋根について、地上から点検するよう呼びかけています。棟の積み直しや葺き直しのときに、新しい基準の留め方で直せるかを担当施工店に聞いてみてください。

瓦の修理の費用はどれくらいですか?

差し替えや漆喰の詰め直しなどの部分的な修理は、直す範囲や足場の有無で金額が大きく変わるため、目安の金額を載せていません。見積もりで金額を動かす項目は、部分修理の見積もりの記事にまとめています。葺き替えの参考価格は、葺き替えとカバー工法の記事に載せています。

SOURCES

この記事の出典

電話で相談 070−8456−4032 フォーム 24時間受付